1 SDNとは
1.1 SDNの概要と発展背景
SDNとは、「Software Defined Network」の略で、ソフトウェアを介してネットワークの構築や設定を管理する技術のことです。SDNの発展は、在宅勤務などでクラウドサービスの利用が急速に拡大していることにつながります。クラウドサービスの需要が大きくなっている一方で、従来のネットワーク管理においては、物理的なデバイスを使用し、デバイスごとに管理する必要があったため、管理者の負担が大きくなります。ネットワーク仮想化を実現するSDN技術の開発に当たって、こういった問題を解決するようになります。
1.2 SDNの仕組み
従来のネットワークでは、「経路制御」と「データ転送」の2つの機能が統合されていました。SDNで利用されるOpenFlowというプロトコルにより、2 つの機能を分離した上で、ソフトウェアで物理的なネットワークデバイスを統一し、データ転送処理をコントロール機能で一括管理できるシステムを構築することができます。これで、各デバイスを個別にアップグレードやトラブルシューティングなど管理する必要がなくなります。
2 SDNのメリット
物理的な統合と仮想的な分離によって実現されるSDNのメリットは、ネットワーク管理の簡易化やネットワーク構築においた柔軟性の向上、コストの軽減などが挙げられます。以下は、それぞれのメリットについて紹介します。
2.1 ネットワーク管理の簡易化
これまでにネットワーク管理者は、規制に従ってルーターやスイッチなどのネットワークデバイスを手動で配線および構成する必要がありました。SDN技術により、簡単なソフトウェアだけでネットワーク構成を完了できます。これで、ネットワーク管理の負荷が軽減され、設定の追加や変更をする際に専門のネットワークエンジニアの介入なしで迅速に対応できます。
2.2 ネットワーク構築においた柔軟性の向上
ネットワークを仮想化するSDNを利用することで、ハードウェアを追加する手間をかけずに、必要に応じてネットワークリソースをスケールアップおよびスケールダウンできます。また、ネットワーク管理者が独自でネットワークリソースの設備を調達および配置することを可能にし、柔軟性が向上されます。
2.3 コストの軽減
もう一つ顕著なSDNのメリットとは、ネットワーク管理者の管理コストが軽減されることです。ネットワーク接続、運用管理、分析、トラブルシューティングをすべてコントローラーで一元管理できるため、管理コストを削減できます。また、新たにシステムを構築するための初期投資コストを抑え、サーバーやケーブルなどの物理ネットワークを変更する必要がないため、初期コストも軽減されます。
3 まとめ
以上は、将来増加し続けるクラウドサービスに欠かせないSDN技術について説明しました。SDNを利用すると様々なメリットがあり、より柔軟で低コストなネットワークの構築や、より簡素な管理方式を実現できるようになります。今後SDN技術は、従来のネットワーク構築と共存する中で、データセンターへの応用や、IPv6との融合も期待されています。